忠犬ハツ恋
「で?美咲はどうするの?納涼祭。」

納涼祭は地元で愛されている夏休み直前の夏祭りだった。
そのラストの花火を好きな人と見るのは1つの憧れだ。

「大ちゃんは絶対ムリだもん。」

塾にとって夏は重要な時期だ。
他の生徒が休んでいる時に頑張った生徒は格段に成績が上がる。
夏に講師が講義をせずに夏祭りに行くのは、ケーキ屋がクリスマスに休みを取るくらい有り得ない事だった。

「だから格好の相手がいるじない。」

「檜山君はダメだよ。
私、望月さんの応援してるんだもん。」

「美咲はそうやって自ら話をややこしくしてるワケね?
私、檜山と望月さんはないと思うよ。
美咲でも難しいんじゃないかと思ってたのに、望月さんは更にその上を行く。」

「そうかな……?」

望月さんのあのちょっと天然の入った感じ、檜山君と合うんじゃないかと思うけど…。

「じゃあさ、茜ちゃん私と行かない?納涼祭!」

「私と辰也の3歩後をついて来てくれるんならイイけど?」

「そうだよね…。」

茜ちゃんも当然、彼とデートだった。
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