忠犬ハツ恋
「あいつの泣き落としに騙されるなよ。」

「大我も見たろ?詩織のアザ。
あれがウソをついてると思うか?」

「アザくらい何処かにぶつければ簡単に出来る。あれが旦那の仕業だと言う証拠が何処にある?
お前が中途半端に構うから詩織がつけ上がる。
美咲ちゃんに知れたらどうなると思ってんだよ。」

「美咲にバレる時は、お前がバラした時だ。
美咲に余計な心配をかけたくない。黙ってろよ大我。」

「オイオイ、何でも俺のせいにするな。
綻ぶときはどっからでも綻ぶもんだ。」

「……充分気を付けるさ。」

俺が採点に集中すると大我は静かにその場を去って行った。
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