忠犬ハツ恋
思考がマイナスに向かい出すと
坂を転がり落ちるようにどんどん気分が落ちて行く。

ヤバイ、泣きそう……。

駅に向かう道のりで瞳に涙が溜まりだした頃
不意に誰かに腕を掴まれ、
東野学習塾方向に引き戻された。

「え?」

その後ろ姿は黒のシャツに黒のズボン。
茶色のギャルソンエプロンに茶色のキャスケット。

当然この格好、大ちゃんでは無い。

「ちょっ!誰?離して!!」

東野学習塾から1番近い横断歩道に着いて、その人は信号待ちでようやく止まった。
< 17 / 466 >

この作品をシェア

pagetop