忠犬ハツ恋
「詩織は俺らの高校の同級生。
高2の時同じクラスになって話が合って少し親しくなった。
大輔と詩織は自然に付き合うようになったが、すぐに別れた。
高3になると詩織は高校を辞め、それからはずっと疎遠だったんだ。」

私はようやくカフェオレにストローを刺し、一色先生の話を聞きながら喉を潤す。

「ここに来て詩織は突然現れた。
東野の事務員の募集を見て来たんだ。
俺らは偶然の久しぶりの再会を単純に喜ぶ事は出来なかった。
詩織は旦那の暴力が原因でバツイチになってた。しかも子持ち。
その旦那は未だに詩織に復縁を迫るらしい。
大輔の胸で泣いていたのは旦那の事を相談していた時だろう。」

バツイチ、子持ちの元カノ……。

「大ちゃんは…詩織さんを慰めているんだ。」

傷ついている時に元カレ優しくされると詩織さんがどう感じるかは容易に想像出来た。

「大輔は律義だから放っておけないんだよ。
ただね、大輔は詩織にちゃんと"俺には婚約者がいる!"ってハッキリ伝えてる。
大丈夫だよ、大輔は美咲ちゃんの事を1番に考えてるから。」
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