忠犬ハツ恋
何がどうなっているのか分からなかった。

なぜ私は檜山君にここに連れて来られたのか?
そもそも檜山君が私を知っている事が驚きだった。

コッソリ逃げ出そうかとも思ったが、そんな事をしたらその後どうなるのかが怖い。

そっとカウンターを眺めると檜山君は何やら作っている様子で。
カップとソーサーが擦れる音やマシンが低く唸る音がする。


仕方なく檜山君を待つ間店内を見回してみた。

内装は女性好みのフランス調の可愛らしい感じ。

そんなに広くはないが、テーブルや椅子の配置のせいか狭苦しく感じない。
でもそう思わせる1番の原因は通りに面した一枚のガラス窓だろう。
綺麗に磨き上げられた窓はきっと店内でお茶する者の心さえも開放的にする。
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