忠犬ハツ恋
「子供を利用するってどう言う事ですか?」

「佐々木さんが休みの日に忘れ物をしたとかで子連れで東野に来たんだけど、
そのおチビさんがさ、多分3歳とか4歳くらいだと思うんだけど、
タタタって筧戸先生の方に走り寄って行って"パパ"って言ったんだよ。」

パ!……パパ?!!!

「その時そこに居合わせた教員全員が凍りついた。
"この2人、前からデキてたんだ!"ってね?
見たら筧戸先生は苦笑いして顔の前で手を振って"違う"ってジェスチャーしてるし、
佐々木さんは佐々木さんで子供を窘めてる。
でもあれはきっと佐々木さんが子供にそう言わせてるんだよ。じゃなきゃ子供が他人にパパなんて言わない。
佐々木さん、可愛い顔してやる事がえげつない…。」

檜山君が教科書を閉じて話に参加する。

「その佐々木さんってのは最初っから筧戸先生狙いだったってワケか。
いんじゃない?筧戸先生、独身なんだろ?」

「よくないよ!!」と叫びそうになるのを必死に堪える。

「それがさ、筧戸先生はその時その足で塾長に会いに行った。それ、婚約の報告だったんだ。
婚約者がいるのに佐々木さんに横槍入れられてる…。お気の毒に…。
筧戸先生の婚約者にこの事が知れなきゃいいけど。きっとそんなの知ったらショックだよ。」

荒木先生が心配するその婚約者の私は荒木先生の目の前に居て、
その事実を知って実際かなりショック受けてます。
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