忠犬ハツ恋
シャロンに行くとサクラさんはもう出来上がっていた。

サクラさんの誕生日パーティーと言ってもメンバーは檜山兄弟と私だけ。

サクラさんは私を見つけるなり絡んで来る。

「ハチ公ちゃ〜ん。大ちゃんとヤってる〜?
女はね、愛されて綺麗になんのよ。
愛してくれない男なんて男じゃないわ。」

サクラさんの誕生日パーティーのはずなのに、サクラさんと同じテーブルは私には有害ということで、少し離れた別テーブルにバースデーディナーを分けて貰った。

「光太郎〜。」

「ちょっと、サクラ!!待て!!コラッ!!」

ふと背後のサクラさんを見ると光太郎お兄さんを押し倒してキスをしているところだった。
人のキスシーンを目の当たりにするなんて初めてで慌てて目を逸らす。

一方の檜山君は何食わぬ顔でピザをつまんでいた。

元カノのキスシーン……。
檜山君には酷なんじゃなかろうか?

檜山君とバッチリ目が合うと檜山君は私の心配を察したのかピザソースのついた指を舐めながな言った。

「サクラさんは酒が入るといつもこうなる。
もう慣れた。」
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