忠犬ハツ恋
檜山君が脱衣所の扉をノックする。
私は扉を開けて檜山君に聞いた。

「男の人ってさ助手席に彼女以外の女性を乗せる事にあまり抵抗無いの?」

「…何だそれ?」

「助手席は私の為に取っておいて欲しいと思うのは私のワガママなのかな…?」

檜山君は少しだけ考えて答えてくれた。

「白石の気持ちは分からなくもないが、
お互いの関係性によっては後部座席に誘導するのは失礼に当たるだろ?
"タクシーかよ?!"ってさ。
余程の要人ならそれが失礼じゃなくVIP待遇と取られる場合もあるが?」

檜山君は私から着替えて握り締めていた檜山君のTシャツを奪うと洗濯カゴに放り込み、続けた。

「考えてもみろ。お前、兄貴に家に送ってもらう時何処に座ってる?助手席だろ?
サクラさんと言う存在を知りながらお前だって助手席に乗るんだ。」

そこを指摘されて納得した。

「それも…そうだね…。」
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