忠犬ハツ恋
「一色君、こんなところで何やってんの?」
ほどなくして詩織さんは指導室に現れた。
「何って仕事。
体験で優秀な素材を見付けて口説いてた。」
「え?それってウワサの子?
"荒らしの檜山"?」
「アイツはダメだ。なぜか俺、嫌われてる。」
詩織さんの声は柔らかくて耳に心地良かった。
初めて聞く大ちゃんの元カノの声…。
「ねえ、一色君教えてよ。
大輔の婚約者ってどんな子なの?
どうせワケありなんでしょ?
じゃなきゃどうして結婚を2年も先に予定するのよ?」
詩織さんは当然の如く大ちゃんを呼び捨てにしていた。
それが彼女が大ちゃんと付き合っていた当時を思い起こさせて私の胸はチクリと痛む。
「まあ……ワケあり…かなぁ?」
「その子に電話してみたけど出ないの。
やっぱり非通知じゃダメね。」
「何で詩織が携帯番号知ってんだよ?」
「そんなの大輔の携帯見ればすぐ分かる。
消去法で職場の人間を除けば後は数人。
その中で発着信頻度の高い子を探せば良い。
美咲チャン、当たりでしょ?」
私の携帯番号は詩織さんに知られていた。
やっぱりあの日の深夜の非通知は詩織さんの仕業だったんだ…。
ほどなくして詩織さんは指導室に現れた。
「何って仕事。
体験で優秀な素材を見付けて口説いてた。」
「え?それってウワサの子?
"荒らしの檜山"?」
「アイツはダメだ。なぜか俺、嫌われてる。」
詩織さんの声は柔らかくて耳に心地良かった。
初めて聞く大ちゃんの元カノの声…。
「ねえ、一色君教えてよ。
大輔の婚約者ってどんな子なの?
どうせワケありなんでしょ?
じゃなきゃどうして結婚を2年も先に予定するのよ?」
詩織さんは当然の如く大ちゃんを呼び捨てにしていた。
それが彼女が大ちゃんと付き合っていた当時を思い起こさせて私の胸はチクリと痛む。
「まあ……ワケあり…かなぁ?」
「その子に電話してみたけど出ないの。
やっぱり非通知じゃダメね。」
「何で詩織が携帯番号知ってんだよ?」
「そんなの大輔の携帯見ればすぐ分かる。
消去法で職場の人間を除けば後は数人。
その中で発着信頻度の高い子を探せば良い。
美咲チャン、当たりでしょ?」
私の携帯番号は詩織さんに知られていた。
やっぱりあの日の深夜の非通知は詩織さんの仕業だったんだ…。