忠犬ハツ恋
大ちゃんから詩織さんの話しを切り出す様子は少しも感じられない。
かと言って私からもどう話しを切り出していいか分からない。
それ以上にあれだけ大ちゃんから真実を聞きたいと願いながら真実を知る事が怖かった。

帰りの車の中でも私の言葉数は少ない。

大ちゃんは私を送ってくれているはずだったが途中で車を止め私に聞いた。

「今日は本当に元気が無いんだな?
このまま真っ直ぐ帰らずにどこか寄ろうか?気晴らしに。
どこに行きたい?」

私は少し考えて答えた。

「大ちゃん家…。」

「……俺ん家?」

「大ちゃん家でいい。
大ちゃん家で……私を大ちゃんのモノにして。」

自分でも驚くほど大胆なお願いだった。
< 237 / 466 >

この作品をシェア

pagetop