忠犬ハツ恋
「美咲……お前どうした?
アレか?友達が夏休みにそういう経験したのを知って焦ってんの?
いつも言ってるだろ?俺はお前が高校を卒業するまで手は出さない。急ぐ必要は無いんだ。」

「じゃあ何もしなくていいからホテルに連れてって。」

「美咲!」

大ちゃんの強い口調に少し怖じ気づいたが、ここまで来たらもう止まらなかった。

「…詩織さんとはホテルに行くのに私とは行けないの?」

「!!!」

私からそう言われて大ちゃんはしばらく言葉を失った。

「………大我から聞いたのか?」

「違う…。」

「…詩織に……会った?」

「大ちゃんはバレなきゃいいと思ってたの?
知られなきゃ何してもいいの?」

完璧に自分の事を棚に上げていた。
私だって檜山君とキスをしている。
あれだって立派な裏切り行為だ。
でも"あれは挨拶みたいなモノだから問題無い"と勝手に自分を正当化していた。
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