忠犬ハツ恋
「大丈夫?!」

大ちゃんは恥ずかしそうに笑うと切れた口を舐めながら言った。

「ははっ、俺、かっこ悪……。」

大ちゃんは喧嘩とかはからっきしダメだった。
格闘技を見るのもニガテなタイプ。

「美咲は大丈夫か?」

「………ゴメン…ナサイ。」

「帰ろう。お前にこういう場所は似合わない。」

大ちゃんが私の手を握って車を停めている方向へと進み出す。
私は涙の滲む目を擦りながら後に続いた。

その時私達の行く手を阻む2人の男性。

「ちょっと話を聞かせてもらいましょうか?」

お揃いのウインドブレーカーに緑の腕章……。
…補導員だった…。
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