忠犬ハツ恋
「補導員の関係者に美咲の高校の保護者がいるらしくてそこがうるさいらしいのよ。
"援交するような生徒と我が子を同じ学校には通わせられない、退学処分にしろ!"って。」

…退学……。

「美咲の担任の先生がいくら"誤解だ!その2人は従兄弟で婚約者なんだ"と応対しても納得しないらしくて。
この勢いじゃ学校に乗り込んで来て美咲に直接意見しかねないから、美咲の安全の為にほとぼりが冷めるまで美咲を謹慎させようって事になったの。」

お母さんは赤信号で止まると私の頭を撫でた。

「いい担任の先生に当たったね。
亜希子先生は"美咲は絶対悪く無いから退学にはさせません"って言ってくれたよ。
本当は謹慎もさせたくないんだって。」

私は亜希子先生に対する申し訳なさで顔を上げられなかった。
自分の浅はかな行動が思わぬところで思わぬ人に迷惑を掛けていた。

私が自宅謹慎……。

それなら大ちゃんは………?
私なんかよりずっと風当たりは強いはず。
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