忠犬ハツ恋
「私、何したらいいの?」

「ココに座って接客と電話番。」

「ええっ?!」

ここは1階の受付カウンター。
一日にどれだけのお客さんと電話があるのかはわからないが、私に出来るんだろうか?

「大丈夫よ。
今や携帯電話とメールの時代。
事務所までわざわざ来る人なんて滅多にいないし、固定電話なんて殆ど掛かって来ないから。
その辺の雑誌でも読んでたらいい。
飲み物持って来てあげる。」

お母さんはそう言って傍の階段から上に登って行ってしまった。

もしお父さんアテの電話とか掛かって来たらどうしたらいいんだろう?
オーストラリアまで転送するの?
まぁとりあえずお母さんに回せばいいのか…。

お母さんは殆ど掛かって来ないと言ったのに、
私が受付カウンターに腰を下ろすと右手元の電話がプルルルルル…と鳴り出した。

「お母さ〜ん!電話!!」

「あんた電話番でしょ?
今、手が離せないからちょっと出てよ。」

2階からそう言うお母さんの声が降って来る。

「ウソでしょ?全く!!」

とりあえず相手の名前と要件だけちゃんと聞いておけば何とかなるだろう、
そう言う腹積もりで電話に出た。
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