忠犬ハツ恋
美咲との電話を切った直後に来客を知らせるチャイムが鳴った。

「ったく誰だよ、こんな朝っぱらから……。」

と言いながらインターホンに向かう。

それが誰かなんて分かっていた。

来客を映し出すインターホンの画面には案の定大我の姿。
大我は変顔をして"美咲だよ、開けて〜"と言うから、俺はインターホン越しに"帰れ!"と一蹴する。

「そりゃないぜ。
援交の罰を受けてるお前をわざわざ慰めに来てやったのに。」

「援交じゃない!
相手は美咲だし、塾長の誤解は解いた。」

俺は溜息1つ吐いて解錠のボタンを押した。

しばらくして玄関の扉が開く音がする。

「何がどうなったら美咲ちゃんとあ〜んなイカガワシイ場所で補導されんの?」

大我はテーブルに近所のパン屋の袋を置いた。
そこはクロワッサンが格別に美味い。

「どうぞ、朝メシ。」

「…サンキュ。」
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