忠犬ハツ恋
納涼祭の日、檜山君は"誘ってもないのに望月さんに断られた"と言っていた。
それはこういう事なのかもしれない。

メッチャ付き合いにくいヤツ。

望月さんという人間が分かって来るとだんだん腹がたってきた。

私に背を向けて去りかける望月さんを呼び止める。

「望月さん!確か教大に行きたいって言ってたっけ?先生になるつもりなの?」

「……うん。それが?」

「良かったらその進路変えてくれない?
自分の友達さえ親の言いなりで自分で選べない人に教職になんて就いて欲しくない。
望月さんに教わる生徒が気の毒だから。」

私の台詞に望月さんは呆気に取られて立ち尽くす。
私はその傍を抜けて教室へと戻った。
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