忠犬ハツ恋
私は掴まれた腕から速まる鼓動がバレるんじゃないかとハラハラしていた。

「なかなか従兄弟だって信じてもらえなかったから……。」

「あそこは従兄弟同士で歩くような場所じゃねぇからな。
……それ、本当に従兄弟?
一色だったんじゃねぇの?」

「違うよ!」

それは本当に違うから自信を持ってキッパリと断言出来る。
そんな私を見て檜山君は安心しているように見えた。

「白石、目ぇ瞑れ。」

檜山君の甘い囁き。キスの予感がした。

「檜山君、私、もうダメだよこんな事。」

「もしこれが最後だとしたら?」

「?」

「東野の招待生になる事にした。
今後多分シャロンでの勉強会は出来なくなる。」

そうなると勉強会のお終いの合図だった檜山君とのキスも無くなる…?
< 267 / 466 >

この作品をシェア

pagetop