忠犬ハツ恋
声はこの間、東野の指導室で聞いていた。
でも姿を近くではっきりと見るのは初めてだった。

荒木先生が言うのも納得する魅力的な大人の女性。
とてもバツイチで子持ちには見えない、自信に満ち溢れた魅惑的な女性。

この人が私の大ちゃんを狙っている。

大ちゃんは"俺はお前を裏切らない"とは言ったけど、こんな人に迫られて果たして拒む事なんて出来るんだろうか?

詩織さんを知れば知る程、私の自信は失われて行く。

「美咲ちゃん?」

ボーッとしている私のスカートを翔真君が引っ張った。

「ごめん、ごめん。
先生とのお話終わった?帰ろうか?」

私のその様子に茜ちゃんは何かを感じ取っていた。
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