忠犬ハツ恋
昼休みはいつものように茜ちゃんと屋上にいた。

茜ちゃんは相変わらずせっせと私が主人公の漫画を書いている。
私は相変わらずイチゴ・オレを啜っていた。



今日は曇り空なせいか私達以外にも屋上で昼休みを過ごす生徒が数人居る。
それぞれが思い思いに休み時間を過ごして居た。


ふとグラウンドを見下ろすと校門から入ってくる檜山君が見えた。

いつもは昼休み終了間際に現れるのに今日は少し早い。
屋上にいる私になんて気付かないだろうと思ってぼんやり檜山君を目で追っていたら、
不意に彼は視線を上に向けた。

気付かれる!と思って慌てて振り返り茜ちゃんの隣に腰掛ける。
茜ちゃんが驚いて私を見た。

「どうかした?」

「ううん、何でもない。」
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