忠犬ハツ恋
「だから携帯ちゃんと管理しろって言ったんだ。そしたら美咲ちゃんの番号を盗まれる事もなかったのに!
美咲ちゃん、大輔に新しい携帯買ってもらえ。番号変えてさ。」

一色先生はまるで我が事のように腹を立てていた。一色先生がヒートアップすると逆に私は落ち着いて来る。

「大ちゃんにも"新しい携帯買ってやる"って言われたけど番号変えたら何かと面倒だから断りました。
非通知を着信拒否すれば大丈夫だと思ってたんですけどね……。」

一色先生は私に携帯を返しながらもまだ怒りが収まりそうにない。

「ああいうとこ!だから俺は詩織が嫌いなんだ。」

どさくさに紛れて私は目の前の冷やし中華に手を伸ばした。
それはいとも簡単に一色先生に遮られる。

「問3間違ってる。
夕飯はまだお預けだよ。」

「一色先生のオニ〜!!」
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