忠犬ハツ恋
ようやく冷やし中華にありつけた時、一色先生がとんでもない事を言い出した。

「美咲ちゃんさぁ、この際ガキでも作っちゃえば?」

突然の一色先生の驚きの提案に私は危うく冷やし中華を喉に詰まらせるところだった。

「な、何の話ですか?」

一色先生は至って冷静に話を進める。

「詩織はさ大輔の婚約者が高校生だという事を知って尚更自分に勝ち目があると思ってんだよ。
だから美咲ちゃんが大輔の子を身ごもっちゃえば詩織も手を出しにくくなると思んだよね?」

一色先生の言わんとする事は分からなくもないが……。

「大ちゃんは私が高校を卒業するまで手は出さないって……。」

「だからそこは美咲ちゃんの手腕だよ。
大輔だって男だ。理性が飛べば止まらなくなる。誘惑するんだよ。」
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