忠犬ハツ恋

しばらくすると屋上の出入り口の扉が激しく開いた。

「おい！白石！！
お前ふざけんなよ！！」

鋭い剣幕で現れたのは檜山君だった。
その剣幕に押されて私は屋上を逃げ回るが、いとも簡単に檜山君に捕まる。

「何？私、ふざけてないよ！」

途端に慌ただしくなった屋上で私はそこにいた生徒達の視線を一身に浴びた。

「お前なぁ！モーニングコールと言うのは相手が起きた事を確認するまでコールするもんなんだよ！
ワン切りで起きれるか！！
頭にきて掛け直してやろうと思ったら非通知じゃねぇか！上等だ白石！！」

檜山君は私をヘッドロックすると頬を抓る。

「痛い！！ヤダ！！
茜ちゃん、助けて〜！！」

茜ちゃんは私を冷めた目で見つめて言った。

「美咲ぃ、モーニングコールでそりゃ無いわ。
『非通知のワン切り』それは俗に言う嫌がらせでしょ？」