忠犬ハツ恋
檜山君がグラスを手に現れた。

ホットだったらどうしようかと思ったが、
渡されたのはアイスコーヒー。

「飲めよ。
ミルクとガムシロは?」

「大丈夫。」

檜山君とこうやって2人になるのは何だか久しぶりだった。
学校裏のサクラさんのお父さんの自動車整備工場で話した以来。

「サクラさん、大丈夫かな?」

「大丈夫に決まってんだろ?
あのサクラさんだぜ?少々食欲落ちたところでど〜って事ないだろうよ。
サクラさんが大袈裟なんだ。兄貴も過保護。」

「そうかな?」

「個人差はあるらしいけどだいたいよく聞くだろ?妊娠したら食べられないって。」

「…うん……。」

2人して厨房の業務用の大型冷蔵庫に寄り掛かってアイスコーヒーを飲んだ。

「それでさ、周防なんだけど。」

??
何の事か分からず私は無言で檜山君を見た。

「あいつも試験期間中ほとんど食べてねぇの。」
< 303 / 466 >

この作品をシェア

pagetop