忠犬ハツ恋
「それはなにか?
俺が大ちゃんと真逆だから俺は白石を大事にしてないって言いたいワケ?」

私は檜山君を直視する事が出来なかった。
今のキスはいつもの勉強終わりの合図のキスとは違う。
この間の勅使河原自動車整備工場でのキスも合図のキスとは違ったけど、あれはあれが最後だと思ったから受け入れたのに…。

私の中で大ちゃんを裏切っているという自覚がここに来てようやく徐々に膨らみ出していた。

「その大ちゃんの志は立派だが、お前それ浮気されてる可能性大だぞ。」

「?」

「お前に男心教えてやる。
好きな奴は手に入れたい、それは自然な感情だ。
それを"大事にしたいから手を出さない"なんて言うのはお前の身代わりがいるんだ。
他で賄えてるんだよ。」

私の脳裏に詩織さんが浮かんだ。
そこは突つかれたくない私の不安。

「そんな事無い!そんなはず無い!」
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