忠犬ハツ恋
「元カノに笑いかけないで欲しい…。」

「それだけ?」

「元カノの子供に"パパ"って呼ばれないで欲しい…。」

「………で?」

「……元カノをホテルに送らないで欲しい…。」

檜山君は私の涙を拭いながら呆れていた。

「お前なぁ〜、それ完璧アウトだろ?
グレーゾーンなんてもんじゃないぞ!
それは完璧にブラックだ。
お前騙されてるよ。」

「そんな事無いってば!!」

大ちゃんは"俺を信じろ"と言った。
"お前を裏切らない"と。
この婚約指輪がその証なんだ。

私は胸元に手を当てた。

「分かったよ…。
報われない白石の欲しいものは俺がやる。」

「え?」

「前も言ったろ?大ちゃんがくれないものは俺がやるって。
いいよ、しばらくは俺、身代わりで。
近いうち奪い去るから。
だから、どうして欲しい?」

檜山君が…大ちゃんの身代わり?
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