忠犬ハツ恋
「もう、……大丈夫なんですか?サクラさん。」

「それがね?聞いてハチ公ちゃん。
私、赤ちゃん出来ちゃったんだけど、
だから気分が悪くて食べられないと思ってたら逆だったの。
食べてないと気分悪くて。
光太郎〜はやく夕飯作って〜。」

へぇ………、
そういうツワリもあるんだ…?

光太郎お兄さんはテキパキと夕飯の準備に取りかかった。

「そんなんじゃサクラさんはブタまっしぐらだな。」

そう言う檜山君の頭をサクラさんが叩く。
光太郎お兄さんがフライパンを火にかけながら私に聞いた。

「ハチ公ちゃん、夕飯食べてくだろ?」

「いえ、私、もう帰ろうかと…。」

別に急いで帰る必要はなかったが、何だか恥ずかしくて居辛かった。

そんな私の肩を檜山君が抱く。

「帰りは俺が送る。夕飯まで食ってけよ。
兄貴、俺ら上にいるから。」

「おお、夕飯出来たら電話する。」
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