忠犬ハツ恋
玄関で呆然と立ち尽くしているところにリビングから檜山君が顔を覗かせる。

「何してんだよ?上がれよ。」

私は力なく靴を脱ぎ捨てトボトボと檜山君のいるリビングに向かった。

「周防、何だって?」

檜山君がソファーの上であぐらをかき、テレビのチャンネルをいじりながら聞く。

「檜山君……当たってた……。」

「あ?」

檜山君はテレビの電源を切ると私の方を向き直る。

「茜ちゃん…妊娠してるって……。」

茜ちゃんは産みたいと言っていたけど、親は反対している。
彼とは音信不通。
そんな状況で赤ちゃんなんて……
茜ちゃん…大丈夫なんだろうか……?
私はどうアドバイスしたらいいんだろう?
茜ちゃんの思いを尊重したいけど、私が勝手な事を言うのはあまりに無責任だ。

「檜山君、私、どうしたらいい?
茜ちゃんに何て………。」

動揺して手が震えていた。

檜山君がゆっくり私に近寄ってそっと抱き締めてくれる。
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