忠犬ハツ恋
「教えたら美咲ちゃん協力してくれる?」

「私で力になれるなら!」

一色先生はゆっくり私に近づいて来ると唇を私の耳に近づけた。

「あの…。」

身の危険を感じて車のドアに手を伸ばす。
私の手の上を一色先生の手が覆い私の行動を阻んだ。

「一…色……先生…?」

一色先生の吐息が耳にかかって背中がゾクゾクとざわめく。

「美咲ちゃんだよ。」

「…ウ…ウソ…でしょう………?」

一色先生が私の耳朶を舐めるから私は小さく悲鳴をあげた。
そんな私を見て一色先生はクスリと笑う。

「ウソ!ごめん。」

一色先生は笑いながら私から体を離した。

「もう!冗談止めて下さい!!」

「ドキドキした?」

「送って下さってありがとうございました!
さようなら!」

私は膨れて一色先生の車を降り、逃げるように家に駆け込んだ。
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