忠犬ハツ恋
「でも結局大輔は浮気で痛い目にあって美咲のところに戻ってきた。
基本、大輔の本命は美咲なの。
大輔は詩織ちゃんとはきちんとケリをつけると言ってたし、だからお母さんはお父さんを説得して貴方達の婚約を許した。
でもねぇ…、お母さんはあの娘は何か仕掛けて来ると思ってたなぁ〜。」

………そうだったんだ…。

208号室のBOXだけ静まり返っていた。
カラオケのテレビ画面には"選曲して下さい"という文字が流れている。

「後は美咲次第よ。
大輔を許せないなら婚約なんて止めちゃえばいい。それでも大輔がいいというなら結婚すればいい。」

「………お母さん…。」

お母さんはリモコンを持つと何かの曲を入れた。
テレビ画面に現れた曲のタイトルは"love  is  over"

「ラブ  イズ    オーバー?」

お母さんはマイクを構えると立ち上がって熱唱する。またその歌が妙に上手い。

「ちょっと待ってよ!こんな時にこんな歌、普通歌う?」

お母さんは結局フルでその歌を歌い切った…。
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