忠犬ハツ恋
大ちゃんは慌てて立ち上がると私に駆け寄る。
「み、美咲…、来てたのか……。」
詩織さんはその時ようやく大ちゃんの婚約者である私を認識してフっと意地悪く笑った。
「コレ差し入れ。もう帰る。」
私は手に持っていたコンビニのビニール袋を大ちゃんに差し出すが、大ちゃんが受け取れずにいるから玄関に置いて踵を返した。
エレベーターホールで大ちゃんは私を捕まえる。
「待て!美咲!!コレは違う!!」
「そんな格好で追って来ないで!」
大ちゃんは自分が上半身裸である事に気付き、
「ちょっと待て!上着着て来るから!!」
そう言って詩織さんを残している自分の部屋に戻って行った。
当然そんな大ちゃんを待つつもりは無く、
タイミング良く到着したエレベーターでさっさと下に下りる。
"基本、大輔の本命は美咲"
さっきそう言っていたお母さんの言葉が白々しく感じた。
きっとこの先ずっとこの調子で私は詩織さんに苛立たされ続けるんだ。
そう思うと歯痒くて悲しくて泣けて来る。
大ちゃんに追いつかれないように近くの川沿いのベンチに逃げ込み肩を震わせて泣いた。
そして……私はある番号に電話を掛けていた。
「み、美咲…、来てたのか……。」
詩織さんはその時ようやく大ちゃんの婚約者である私を認識してフっと意地悪く笑った。
「コレ差し入れ。もう帰る。」
私は手に持っていたコンビニのビニール袋を大ちゃんに差し出すが、大ちゃんが受け取れずにいるから玄関に置いて踵を返した。
エレベーターホールで大ちゃんは私を捕まえる。
「待て!美咲!!コレは違う!!」
「そんな格好で追って来ないで!」
大ちゃんは自分が上半身裸である事に気付き、
「ちょっと待て!上着着て来るから!!」
そう言って詩織さんを残している自分の部屋に戻って行った。
当然そんな大ちゃんを待つつもりは無く、
タイミング良く到着したエレベーターでさっさと下に下りる。
"基本、大輔の本命は美咲"
さっきそう言っていたお母さんの言葉が白々しく感じた。
きっとこの先ずっとこの調子で私は詩織さんに苛立たされ続けるんだ。
そう思うと歯痒くて悲しくて泣けて来る。
大ちゃんに追いつかれないように近くの川沿いのベンチに逃げ込み肩を震わせて泣いた。
そして……私はある番号に電話を掛けていた。