忠犬ハツ恋
部屋に戻ると詩織がさっき美咲が置いてったコンビニ袋を手にキッチンに居た。

「これ、月見うどんの材料?可愛い婚約者ね。」

「何してるんだよ!帰れ!!」

「頭、痛いんでしょ?食事作ってあげる。」

「迷惑だ!帰ってくれ!」

俺は上着を羽織ると携帯を探した。

美咲が連絡無しに来るわけない。
何故気付かなかった?

携帯を見ると電源が切れていた。
?…何時の間に……。
頭痛のせいで無意識に切ってしまっていたのか…?

そんな事より美咲だ。
早く追い駆けなければ!

「ちょっと!何?!」

詩織の腕を掴むと強引に外に放り出した。
施錠して膨れている詩織を置いたままエレベーターへと向かう。

美咲に電話をしたら通話中だった。

その時、大我から着信が入る。

「おい!こっちに詩織が居ない。
まさかお前のトコにいるんじゃないだろうな?
美咲ちゃんから電話があったからお前が頭痛で早退したと伝えたぞ。
美咲ちゃん、来たか?」

「………大我……、もう遅い……。」

俺はそれだけ言うと大我の電話を切り美咲を探した。

とても頭痛で寝込んでいる場合じゃない!
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