忠犬ハツ恋
檜山君は仰け反る私の上にゆっくりと覆い被さって来る。

「あ…あの………檜山君?」

そのまま檜山君の柔らかな唇が落ちて来た。
唇と唇が触れるか触れないかのキスを重ねているうちに段々とお互いに熱を帯び、次第にその深さを増して行く。

もはやこれはもう…合図のキスなんかじゃない……。

そう思った頃檜山君の大きな手が私のTシャツの裾から侵入し脇腹をなぞるのを感じた。

「ち、ちょっ!!檜山君!!」

「ダメ?」

そう聞く檜山君は拗ねた子供みたいな眼をしていて、普段は絶対見られないその表情のギャップにドキリとした。

「………私が嫌がる事は…しない…って言ったよね?」

「ヤなの?」

「……えっと…、イヤと言うか……。」

正直なところこの未体験ゾーンは怖かった。

「白石に1つ教えてやる。」

「…何?」

「男の"何もしない"は絶対に信用するな。」
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