忠犬ハツ恋
「それがさ、筧戸先生が中央の秀才の学習環境を見たいって。上がっていいだろ?
あれ?何だ、ハチ公ちゃん来てんの?」

荒木先生の発言に下を見ると玄関には中央の女生徒の指定靴があった。

「そう。
だからさぁ、また今度にしてくんない?」

そう言って檜山は玄関の扉を閉じようとするから荒木先生はその隙間に足を挟み込んで止めた。

「おっと!待てよ圭太!!
ハチ公ちゃんが居るなんていつもの事じゃないか。別に構わないだろ?
筧戸先生、忙しいんだよ。次の機会なんていつ来るか分からない。」

「別に見せる程の学習環境でも無い。
荒木センセならそんな事知ってんだろ?しょつちゅうここに来てんだから。」

このまま追い返されそうな気配を感じて俺も応戦した。

「休みに突然悪かったね檜山。
でもすぐ済むから。頼む、少しでいい、中を見せてくれないか?」

俺の頼みに檜山は少し考えた。
考えてから溜息1つ吐くと踵を返し奥へ戻って行く。

「おい!圭太!!」

荒木先生が呼び止めると檜山は後ろを振り返りながら
「ちょっと待ってて下さい。
ハチ公に確認取って来る。」
と言いながらリビングに消えた。
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