忠犬ハツ恋
「それってそんなに重要?」

「えっ?」

「俺が大ちゃんの正体にいつ気付いたのか?
それはそんなに重要な事なのかと聞いてる。」

「それは………。」

確かに今となってはどうでもいい事だった。
今その事を確認したところで、今のこの状況を切り抜ける何の助けにもならない。

「望月だよ。」

「望月…さん……?」

「白石を好きだと俺が教室で暴露した日があったろ?あの後だ。望月が教えてくれた。
お前には婚約者がいると、それは東野の筧戸先生なんだと。」

「………そんな…前から…?」

あれから後も檜山君はずっと大ちゃんは一色先生だと思い込んだ発言をしていた。

「お前は隠したがってたからな。
だから俺は大ちゃんは一色先生だと思い込んだフリを続けてた。
勘違いしたフリを続けながら筧戸先生の様子を探ってた。
なあ白石、あんな奴の何処がいいんだよ?
東野の事務員の佐々木詩織は元カノで今や塾中で2人の仲を怪しまない奴はいない。
お前だって気づいてんだろ?だから昨日俺のところに来た、違うか?」

その時玄関から荒木先生の声がした。

「お〜い!圭太、いつまで待たせんだよ。
ハチ公ちゃ〜ん、上がるよ〜?」
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