忠犬ハツ恋
東野学習塾に近づくにつれ檜山君は速足になり私と距離を作り出した。

私は慌ててついて行く。

「待って!檜山君。」

檜山君は私に呼び止められてスピードを緩めると小さく言葉を発した。

「俺と歩いてんの大ちゃんに見られたらマズいんじゃないの?」

私は驚きで目を丸くした。

「檜山君って変なところで気を遣うんだね?
見られたって問題無いよ。檜山君はただのクラスメイトだもん。」

それに大ちゃんはすでに東野のビルの中に居るはず。
見られる可能性は少ない。

「へぇ……ただのクラスメイトね。」

檜山君はまた歩みを速めた。
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