忠犬ハツ恋
シャロンに着くと数人のお客さんが居るだけで
お店はのんびりしていた。

カウンターの奥で檜山君のお兄さんらしき人がにこやかに窓際の席を指し示す。

私は檜山君と一緒にこの間と同じ席に座った。

しばらくして笑顔の素敵な女性が私達のテーブルにアイスティーを2つ置いた。

「いらっしゃい!
あなたね?圭の『ハチ公』ちゃんは。
私、サクラと言います。」

見たところ20代の半ば…。
それより…今、私を何と?『ハチ公』?

私は無言で隣を見た。

檜山君はいつも学校でするみたいにテーブルに突っ伏して寝る体制に入っている。
その状態で顔を私の方に向けて檜山君は言う。

「忠犬ハチ公だよ。お前知らないの?
いっつも東野の入り口で立ち尽くして大ちゃん待ってたから俺らは白石をそう呼んでた。」
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