忠犬ハツ恋
突然大ちゃんに後ろから抱きすくめられた。
「美咲……お帰り。」
「!!……大ちゃん……。」
大ちゃんの腕を解こうとしても大ちゃんはそれを拒んだ。
「待って。少し…このまま……。」
背中から大ちゃんの温もりをじんわりと受け取る。
息が詰まるほど強く抱き締められているのにそれが嫌じゃ無くて妙に安心している自分がいた。
「…大ちゃん、今日…仕事は?」
「休んだ。
昨日頭が割れそうに痛かったのに、詩織のお陰で殆ど休めなかったからな。」
それはそうかも知れないが、正確には"詩織さんと私のお陰で殆ど休めなかった"はずだった。
あの後、痛い頭を抱えて暫く私を探し回ったはずだから……。
その時私は檜山君と一緒にいた…。
「大ちゃん…ごめん…。」
「どうしてお前が謝る?
お前のせいじゃない。詩織のお陰で休めなかったって言ってるだろ?
それともお前のその"ごめん"はもっと別の事から来てる"ごめん"なのか?」
「………。」
大ちゃんは私を抱く腕を解くと私の首に何かを掛けた。
それは檜山君に外された婚約指輪。
檜山君の家に忘れてきているはずの婚約指輪が何故か今私の胸元に戻って来た。
「……これ…。」
「昨日お前は檜山の家に居た。
でも何も無かった。…そうだろ?」
「…大ちゃん……、あのね。」
私は嘘はつけない、そう思って口を開きかけたのを大ちゃんが遮る。
「何も言うな。俺も何も聞かない。
お前は檜山と何も無かった、それでいい。」
大ちゃんは両手で私の頬を包み込む。
「美咲……お帰り。」
「!!……大ちゃん……。」
大ちゃんの腕を解こうとしても大ちゃんはそれを拒んだ。
「待って。少し…このまま……。」
背中から大ちゃんの温もりをじんわりと受け取る。
息が詰まるほど強く抱き締められているのにそれが嫌じゃ無くて妙に安心している自分がいた。
「…大ちゃん、今日…仕事は?」
「休んだ。
昨日頭が割れそうに痛かったのに、詩織のお陰で殆ど休めなかったからな。」
それはそうかも知れないが、正確には"詩織さんと私のお陰で殆ど休めなかった"はずだった。
あの後、痛い頭を抱えて暫く私を探し回ったはずだから……。
その時私は檜山君と一緒にいた…。
「大ちゃん…ごめん…。」
「どうしてお前が謝る?
お前のせいじゃない。詩織のお陰で休めなかったって言ってるだろ?
それともお前のその"ごめん"はもっと別の事から来てる"ごめん"なのか?」
「………。」
大ちゃんは私を抱く腕を解くと私の首に何かを掛けた。
それは檜山君に外された婚約指輪。
檜山君の家に忘れてきているはずの婚約指輪が何故か今私の胸元に戻って来た。
「……これ…。」
「昨日お前は檜山の家に居た。
でも何も無かった。…そうだろ?」
「…大ちゃん……、あのね。」
私は嘘はつけない、そう思って口を開きかけたのを大ちゃんが遮る。
「何も言うな。俺も何も聞かない。
お前は檜山と何も無かった、それでいい。」
大ちゃんは両手で私の頬を包み込む。