忠犬ハツ恋
「…婚約破棄……しないの…?」

「婚約破棄?冗談じゃない。
言っただろ?どれだけ俺が美咲との将来を夢見てたと思う?それはお前の比じゃないんだって。

美咲、何度でも言う。
俺と…結婚しよう?」

息が止まるかと思った。

大ちゃんは私の裏切りに気付いている。
だからこそ"何も言うな"と言うんだ。
なのに……大ちゃんからまさかの2度目のプロポーズ。

息苦しさで涙が溢れ出す。

「美咲、……返事は?」

返事なんて出来る訳がなかった。
私はただ苦しくて溢れる涙を拭う事すら忘れていた。

大ちゃんが寂し気に笑う。

「だから、嬉しい時は笑えって。」

そう言って大ちゃんは私の涙を拭い、返事を待たずに私の唇を奪う。

「……んっっ!!…だ…いちゃん……ダメ…。」

大ちゃんは私の抵抗などお構い無しに私をリビングのソファーに押し倒し、言った。

「美咲、俺はお前の親父との約束を反故にする。」

「えっ……?」

「抱くよ。」

大ちゃんの手が私のワンピースへと伸びた。

「だ、…大ちゃん!!待って!!」

「心配するな、檜山なんてすぐに忘れる。」
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