忠犬ハツ恋
「そうですか………、退学届。
まあ、あいつの授業態度からすればあいつの存在は困ったものではありましたが、
あいつの学年トップぶりは進学校の進学クラスに凌ぐものがありましたからねぇ……。
まぁ、正直惜しくはありますねぇ……。」

……退学届……?
……学年トップ?

それが檜山君の事である事は簡単に察しがついた。

2人の話が終わり亜希子先生が1人になると私はすかさず亜希子先生に詰め寄る。

「亜希子先生!!
………今の話…本当ですか……?」

亜希子先生は私の顔を見てさして慌てる事も無く溜息1つ吐いた。

「今朝よ。檜山が退学届を持って来たの。
どちらにせよ檜山はもう留年が決まっていたから留年するくらいなら辞めた方が良いんでしょ?
檜山は大学に行く意思は低かったけど、今後気が変わらないとも限らない。
その時は少し回り道する事になるかしらね?
目先の事しか考えない今時の典型、本当に勿体無い。」

亜希子先生は悔しそうに唇を噛んだ。
あれだけ自分のクラスから退学者なんて出さないと頑張って来た先生だ。
なのに……。
"担任の心、生徒知らず"
亜希子先生のクラスから中退者が出る。
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