忠犬ハツ恋
私は急いでシャロンへと向かっていた。

電話に出てくれないんじゃ埒が明かない。
檜山君に直接会わなければ。
そして退学届けを取り下げるよう言おう。
留年したっていいじゃないか、
檜山君の性格ならそんな弱点すらプラスに変えてしまうだろう。


「あれ……?」

シャロンは閉まっていた。
扉には"臨時店休"の文字。

サクラさんの調子が悪いのかな…?

目を凝らしてシャロンの中を見ると厨房の方に微かに人影が見えた。
私はシャロンの裏口へと回った。

裏口にはこれからシャロンに入ろうとする光太郎お兄さんが居て、私と目が合うと表情を曇らせた。

私は光太郎お兄さんに駆け寄る。

「お兄さん!檜山君は?
今朝、退学届出したって……。」

お兄さんは私の肩に手を置くと
「とりあえず入って」
とシャロンの厨房へと促した。
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