忠犬ハツ恋
「圭太はさっきコロンビアへ発ったよ。
学校は自主退学、東野も辞めた。」

「………えっ…?」

「親父が倒れたんだ。多分脳梗塞。
親父を日本に帰国させたいけど今は下手に動かせなくて。コロンビアで日本語が出来る病院探してる。
圭太は親父のところに行ったんだ。」

ここで初めて知らされる現実に目の前が真っ白になった。

「………檜山君と…連絡はつくんですか…?」

「しばらくは無理だと思う。
携帯は使えないだろうし、現地はライフラインが整っているかも謎でね。」

光太郎お兄さんは淡々と話すがその声色の奥底に檜山君を心配する兄心が見える。

「…いつ……戻るんですか?」

「親父次第だけど……脳梗塞だからね……?
その進行具合とか回復具合とかに寄るだろうからきっと長期戦だよ。
圭太もそれが分かっていたから退学届を出して身辺綺麗にしてここを発ったんだ。
まぁ圭太は遅かれ早かれ親父の所に行くつもりでいたからあまり抵抗は無かったみたいだけど。」

「そんな……。」

こんな事ならあの時檜山君に想いを伝えておけば良かったんだろうか?
そうしていれば……
檜山君がコロンビアに行ってしまっても何かしら連絡はついていたのかも知れない。
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