忠犬ハツ恋
お母さんの事務所を出てフラフラと自宅へと向かっていた。

結局シャロンを手伝う話を切り出す事を忘れた。まぁ、これは事後報告でもいいだろう。

それよりも今日の夜、大ちゃんとお母さんの話がどう進むのか心配だった。
大ちゃんは指輪を返されて驚くんだろうか?
それとも怒るんだろうか?
それを受け止める全てをお母さんに任せてしまった……。

自分でもヒドイと思う。
婚約破棄を他人に告げさせるんだから。

ボーっと横断歩道を渡っていたら
けたたましいクラクションの音と共に突然後ろに手を引かれた。

「赤だよ!美咲ちゃん!!」

私の腕を掴んでいるその人は……
一色先生だった……。
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