忠犬ハツ恋
「檜山は東野を辞めた。
どうも高校も辞めたらしいね?」

「檜山君は…コロンビアにいるお父さんのところに行ったそうです。
いつ帰国するかは分からないって…。」

私のその返答に一色先生が息を呑むのが分かる。

「美咲ちゃん…どうするの?
今、大輔と別れたら1人になるよ。」

私は烏龍茶を一口飲み、へへっと笑って見せた。

「最近になって檜山君が私の中で何時の間にか大きな存在になっていた事を知らされました。
檜山君は大ちゃんしか見ていなかった私が檜山君に目を向けるのをずっと待ってた。
だから今度は私が待つ番だと思ってます。

大ちゃんへの自分の気持ちが分からない今、大ちゃんと離れるのは1つの手だと思う…。」

一色先生は私をまじまじと見つめるとフッと笑った。

「やっぱりいとこだね〜。
大人しそうでいて意思は凄く強い、美咲ちゃんのそういうとこ大輔そっくりだ。」

一色先生が本当に愉しそうに笑うから私はただ恥ずかしさに俯いた。
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