忠犬ハツ恋
俺は大我の前にある枝豆を3つ頂戴しながら聞いた。

「職無しに飽きたら戻って来るんだろ?」

「さあな?」

大我はシルバーリングを俺の小指にはめながら言う。
美咲の婚約指輪は俺の小指にすら通らなかった。美咲の手指の華奢さを改めて思い知る。

ひどく美咲に会いたかった。

大我は俺の肩をポンと叩く。

「もし俺が起業したらお前を雇ってやるよ。」

「そりゃ有難いね…。」

不覚にも美咲を想って涙の滲み掛けた顔を大我から背け、俺の肩に乗せられた大我の手をポンポンと叩き返した。

「おい、目からビール出てるぞ。」

大我かがそんな事を言いながら笑う。

「お前のタバコが煙いんだよ!」

俺は肩に乗せられた大我の手を払い除けた。
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