忠犬ハツ恋
電話を切った頃檜山君がひょっこり顔を出した。

「コーヒー出来たぞ。」

落ち込まないと決めたのに、ひどく寂しかった。
沈んでいる私から檜山君は何かを感じ取る。

「また大ちゃんにフラれたのか?」

「今日夕飯一緒に食べる予定だったんだけど、ダメになっちゃった。」

「良かったじゃん。」

「えっ?」

「ここで夕飯食ってけよ。」

檜山君はそう言って私の頭を小突く。

乱暴な檜山君が時折見せる優しさが嬉しかった。

「今日はサクラさんの当番だから味は保証しねぇけどな。」
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