忠犬ハツ恋

サクラさんの賄いご飯は不思議な味だった。
スパイスとフルーツが贅沢に取り入れられたカレー。

「今日はサクラ特製トロピカルカレー！！」

私はトロピカルカレーなんて初めてで、それが美味しいのかどうかの判断がつかない。

そっと檜山君をみると檜山君の眉間にはシワが寄っていた。

サクラさんが席を外した時こっそり檜山君に聞いた。

「ねぇ檜山君、トロピカルカレーって食べた事ある？」

「ねぇな。
多分あの様子じゃサクラさんも食べたことねぇぞ。」

「えっ？サクラさんも？」

「あいつの料理はいつも想像とか妄想で出来てるんだ。
今日はまだ食えたからいいが、たまに殺意を覚えるほどひどい時がある。」

………サクラさんって…
………強者…。