忠犬ハツ恋
「暴露しちゃうと圭太は愛人の子なんだ。俺とは腹が違う。
俺が10歳の時に圭太は産まれて、その後直ぐに圭太の母親は病死した。
施設に行くはずだった圭太を引き取ると言ったのは俺の母親だった。
ずっと2人目を欲しがってたのに出来なかったからね。」

背後から救急車のサイレンが聞こえ、お兄さんは車を左に寄せる。
救急車はけたたましい音と共に私達の横を走り抜けて行った。

「圭太を引き取って2年後、今度は俺の母親が死んだ。
だから圭太は殆ど母親の暖かみを知らないんだよ。
父親は海外を飛び回るような生活だったから、
圭太を育てたのは俺みたいなもん。」

「そうだったんですか……。」

状況は違えど私も檜山君と似たようなものだ。

「それなら仲良く出来そうです。
私も親の仕事が忙しくて私はほぼ11歳年上の従兄のお兄ちゃんに育てられましたから。」

「そう?ハチ公ちゃんも大変だね?」

私の返事を聞いてお兄さんは穏やかに目を細めて笑った。
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