忠犬ハツ恋
家に帰り着くまでにお兄さんと沢山話しをした。
お兄さんの学生時代の話しとか、シャロンに来る変わったお客さんの話しとか。

お喋りが上手なタイプには見えなかったけれど、お兄さんの話しは楽しくてあっという間に家に辿り着いた。

「あれ?」

家に灯りが点いていた。

「親御さん?」

「いいえ……。」

車庫に停まっていたのは大ちゃんの車だった。

「あ、従兄のお兄さん?」

「はい……。」

大ちゃんと夕飯が食べられないと分かった時、今日はもう会えないと思っていた。
病欠の先生の代講を済ませて駆けつけてくれたんだろうか…?

「ちょっと遅くなっちゃったかな?
もしかして怒られる?俺、挨拶に行こうか?」

車の中の時計は12時になろうとしていた。

「大丈夫です!私、ここで降りますね。
送って下さってありがとうございました。」

私は家の門から少し離れた所で車を降りた。
お兄さんは悪くない、光太郎お兄さんが大ちゃんから叱られるワケには行かなかった。
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