忠犬ハツ恋
「さて、美咲の顔も見た事だし…。」

大ちゃんはそう言うと玄関のノブに手を掛けた。

「え?泊まって行くんじゃないの?」

「代講は終わらせたけど片付けを途中にしてきた。夏期講習の用意もあるし、今日は俺の家に戻るよ。」

わざわざ来てくれた事を喜ぶべきなんだろうけど、肩透かしを食らった気分だった。

婚約しても状況は前と何も変わらない。
むしろ前より悪くなっているような気さえした。

大人しくなった私に気付いて大ちゃんは私に向き直る。

「……美咲…もう少し待て。」

大ちゃんは私のおでこにKissをした。

私は高校を卒業したら大ちゃんと結婚する。
でもそれまでにはまだ2年半もあった…。
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