忠犬ハツ恋
食事が終わる頃、檜山君がお絵かきコーヒーに取り掛かっていた。

近くからそっと覗いてみると簡単に作っているようでかなり繊細な作業だ。

これを参加者全員分……。

そう思うと見ているこちらがへこたれそうだった。

何とかデザートとコーヒーが無事に済んだ頃には檜山君はもうヘトヘトだった。

二次会も終わり参加者が全て退場したシャロンのベンチ椅子に檜山君は泥のように横たわる。

「大丈夫?」

私が心配になって声を掛けると檜山君は気怠そうに目を開けた。


「白石、もうちょっと近く。」

「へ?」

「こっからの眺めがサイコー。」

今、檜山君の目は私の太腿辺りにあった。
メイド服のスカート丈は思ったより短い。

「バカ!!
鍵を頂戴、着替える!」

「もう?記念撮影してからにしようぜ。」

「しない!着替える!!」

私は檜山君から鍵を受け取り201号室でサッサとメイド服を脱ぎ捨てた。
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